読めばハマる!扶桑社ミステリー&ロマンス 入門ガイド 扶桑社海外文庫座談会

好評「扶桑社ミステリー&ロマンス入門ガイド」の第三回連載を公開します。
第一回から読みたい方はこちらから。これさえ読めば、あなたも扶桑社海外文庫のトリコに…!?

 

 

ケッチャム、『隣の家の少女』前夜

井野 ケッチャムって、最初はどうだったんですか……?

吉田 いや、別に最初から際立って売れていたわけじゃないですよ。ただ、『隣の家の少女』までの2冊でも十分、黒字は出ていたはずです。

隣の家の少女
隣の家の少女

冨田 『ロード・キル』があって、『オンリー・チャイルド』があった。『ロード・キル』なんかきちんと重版していましたからね。

ロード・キル
ロード・キル
オンリー・チャイルド
オンリー・チャイルド

吉田 『ロード・キル』は傑作ですからねぇ。魔太郎日記みたいなのをつけていたサイコ予備軍が、実際の殺人を目撃して開眼。その犯人を連れまわしながら、ハイウェイ沿いに目につく人間を片っ端から殺して回る『ヒッチャー』みたいな話なんですが、文体はとことんハードで詩的でね。

冨田 次の『オンリー・チャイルド』は『ロード・キル』ほどの反響はなかったんですが、そのあと翻訳者の金子浩さんが自分でやりたいと名乗りをあげられ、それで『隣の家の少女』が出ます。実を言うと、編集部的には『オフ・シーズン』を推すムードだったんですが。

吉田 『オフ・シーズン』というのはケッチャムのデビュー作です。ニューヨークから避暑に訪れた6人組が、現地でお腹をすかせて待ち構えていた食人族に、次々食べられちゃうとびきりクールな痛快サバイバル活劇です。ああちなみに、頑張ってサバイバルするのは食人族の方ですから(笑)。本国でも、発禁同然になったいわくつきの作品です。

オフ・シーズン
オフ・シーズン

井野 へぇ。

冨田 まぁ、当時のケッチャムはサイコ・サスペンス作家として受け止められていたので、食人族が出てくる『オフ・シーズン』よりは『隣の家の少女』のほうがまだ受け入れられやすいだろうということもあったでしょうね。

井野 なるほど。

冨田 とはいえ、まさかここまでの大ヒット作になるとは思いませんでした。

吉田 もちろん、それなりには売れてはいたんですけどね。爆発的なことになったのは、有隣堂の梅原さんのPOPを帯に使った影響もあるかと。

井野 では、そろそろ、ケッチャム販売担当の宮崎さんから一言を(笑)

宮崎 うーん………。私がケッチャム作品と出会ったきっかけは、池袋にあった芳林堂書店で文庫担当として働いていた頃にさかのぼります。当時、扶桑社文庫は平積みがなかったんですよ。

冨田 ちなみに、いつごろの話?

 

宮崎 2003年ごろだったと思います。それで、何か平積みしなきゃと思って…。

井野 何故、そんなことを(笑)

宮崎 それは、扶桑社文庫が微妙に異なるジャンルの棚に置かれていて、売り上げの実績が良くなかったから。何かを平積みにしなきゃと思って。

冨田 逆に、なにかテコ入れをしなければならなかったわけね。

宮崎 当時、文庫に挟んであるスリップに1年間の回転数が記録してあったんですね。要は、この本は1年間で棚から何回売れたんだ、と。それで調べてみたら、『隣の家の少女』の回転数が異常に高かったんですよ。

吉田 へぇー!

宮崎 他の店舗で働いたことのある先輩に聞いたら、「『隣の家の少女』はウチの店だと売れるんだよ」と言っていたので、過去の実績を調べたら、確かに突出して売れているんです。それで気になって読んでみようと思ったんです。当初、なんとなく、この表紙と帯のイメージからひと夏の青春ものかな?と、『スタンド・バイ・ミー』的なものを想像していたんですけど。

一同 (爆笑)

宮崎 読んでみたら、全然違ったのですが、最終的には感動して、大泣きしてしまいました。

吉田 泣いたんだ(笑)

冨田 でも、あの作りだと、青春小説だと思って読みはじめる人がいてもしかたない。

吉田 前半はそんな感じもしますね。

このページを読まれている方に朗報!!

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