扶桑社社員が薦める 扶桑社海外文庫読むなら、まずコレ!

扶桑社海外文庫を初めて読むあなたに、「まずコレ!」というタイトルを勝手に推薦。編集者から販売担当、宣伝マンまで、一冊の本に込められた扶桑社社員の想いがここに!好評連載第二回が公開。連載第1回目はこちら

  • ゲラを読んでその場で号泣。心ふるえる圧巻の戦時大河ロマン。

 

 

 

 

僕のオススメは、『青銅の騎士』全四巻。
いや、ホントに凄い作品なんですよ。読むと、もうね、打ちのめされる。僕だけじゃありません。弊社の編集部や販売部でも、読んだ人間はみんな絶賛していましたからね。

内容は、レニングラード攻防戦を舞台に、士官と町娘の究極の愛を描く戦時大河ロマン。「戦火の愛」ということで、扶桑社海外文庫の枠組みではロマンスとして出すしかなかったのですが、結果的に読者を選別してしまったのではないかと、今では本当に後悔しています。

ジャンルは確かにロマンスかもしれませんが、男性、女性を問わずじゅうぶん楽しんでいただけることは、僕が確約します。(第三巻で結構長い濡れ場があるので、お子さんには残念ながらお勧めしませんが)

なにせ、ロマンスの担当者から一巻のゲラをもらって読んで、終盤、人目もはばからず号泣しましたからね。ひたすら恐ろしく、同時に、圧倒的に美しい。

それから、第四巻も何度も泣きました。とくに看護師のヒロインが瀕死のヒーローの元にかけつけて内緒で自分の血を輸血するシーンが前半にあるんですが、そこは、特にヤバい。ホントにヤバい。根こそぎもってかれますよ。いい年こいたおっさんが、喫茶店で「ううっ、ううっ」って、嗚咽してね(笑)。

ところが悔しいことに、ロマンスとしてはぶっちゃけ、あんまり売れなかった。

第一・二巻を『レニングラード』、第三・四巻を『黄金の扉』の副題で、二ヶ月連続刊行で四冊出したんですが、あまりに売れなくて、三と四の部数を半減させられたのを覚えています。 本当に圧倒的な戦争小説であり、恋愛小説なんです。ただ、ロマンス読者の求めていたものとは違った。

まず、舞台のレニングラード。ソヴィエト/ロシアってのが、ロマンス小説としては、そもそも鬼門らしい。 それから、状況がとにかくヘヴィー。登場人物の大半が、結果的には非業の最期を遂げる、辛い物語ですから。これも、気楽に読めるロマンスを求めているメイン層には受け入れていただけなかった。

あと、ヒロインとヒーローが、とにかく貧乏。これも良くなかった(笑)。
ヒーローのアレクサンドルは将校なのですが、軍部の巨大な組織のなかでは、ほとんど力は持っていない。ときたま、配給品をなんとか持ってきてくれるくらいでしてね。

まして、ヒロインのタチアナの置かれている立場は悲惨です。圧倒的な飢えと、日々の空襲のなかで、タチアナの家族は悪夢のような状況に追い詰められていきます。

それからラストが、必ずしもハーレクインのような大団円のハッピーエンドにならない。これもロマンス・ファンの皆様に避けられた要因だと思います。

でもこれ、「ふつうの恋愛小説」として見たら、どうなんでしょう。
むしろ王道って言っていいのではないでしょうか。

 

※紹介情報、紹介者肩書等は公開時(2014年6月)のものです。

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