扶桑社社員が薦める 扶桑社海外文庫読むなら、まずコレ!

扶桑社海外文庫を初めて読むあなたに、「まずコレ!」というタイトルを勝手に推薦。編集者から販売担当、宣伝マンまで、一冊の本に込められた扶桑社社員の想いがここに!
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  • キング絶賛。ノワールの帝王トンプスンの傑作

 

 

 

 

ジム・トンプスンは、1950~60年代にかけて犯罪小説を量産した作家です。当時のアメリカでは、雑貨屋で安く売られるペイパーバックの娯楽小説がありました。トンプスンはこの大衆向け市場で書き飛ばしたのですが、その作品の独特の暗黒感はまずフランスで高い評価を受け、80年代以降本国に逆輸入され、2000年代に日本でも本格的に注目を浴びました。

代表作のひとつが『ポップ1280』で、饒舌な保安官が自分を取り巻くもろもろの状況を狡猾かつ冷酷に、それでいてどこかユーモアすらたたえて片づけていくさまを語りつくしたこの作品は、2001年度「このミステリーがすごい!」(宝島社)で海外編第1位に選ばれました。それ以来、扶桑社では、トンプスンの作品を順次刊行しました。

トンプスンには、もうひとつ『おれの中の殺し屋』という、はずせない名作がありますが、今回は、トンプスン・ファンのスティーヴン・キングが「すばらしい作品」と特筆する『失われた男』をご紹介します。

主人公の新聞記者は、達者なコラムニストでもあり、詩作の才も持つ男ですが、じつは重大な秘密をかかえています。それが本作品の肝となり、読者は第二次世界大戦~朝鮮戦争を経たアメリカの隠された一面を見ることになります。本文庫のリチャード・マシスン『縮みゆく男』に通底するテーマともいえるでしょう。

トンプスンの作品はミステリー的な結構も鮮やかで、なかでも本作品の巧みな殺人とその展開は非常にスリリング。なお、中森明夫氏の力のこもった解説も収録されておりますので、ぜひあわせてお読みください。

「いきなり長編は……」というかたには、短編集『この世界、そして花火』もおすすめです。詳細はこちら

総務部 冨田健太郎

 

※連載第4回 「〈シグマフォース〉シリーズに勝るとも劣らない傑作」

※紹介情報、紹介者肩書等は公開時(2014年8月)のものです。

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