扶桑社社員が薦める 扶桑社海外文庫読むなら、まずコレ!

扶桑社海外文庫を初めて読むあなたに、「まずコレ!」というタイトルを勝手に推薦。編集者から販売担当、宣伝マンまで、一冊の本に込められた扶桑社社員の想いがここに!
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  • ジェフ・ニコルスン『装飾庭園殺人事件』異色の経歴の著者が描く、一風変わったミステリー

 

 

 

 

 私がお奨めするのはジェフ・ニコルスンの『装飾庭園殺人事件』です。なぜこの本かというと、先日、佐賀県の武雄市図書館に行って――その建物にはTSUTAYAが同居しているのですが――、そのTSUTAYAで面出しされていたので、この本を思い出したのです。

 私は正統派のミステリーより、ちょっと変わった作品に惹かれます。ストーリーであれ、描写であれ、過剰だったり、ひねってあったりというような、いい意味で読者の期待を裏切ってくれるようなミステリー。で、『装飾庭園殺人事件』も変なミステリーなんです。

  あらすじをいうと、ホテルの部屋で自殺していた造園家の男性の妻が、夫の死に不審を抱き、真相を探ろうと、夫と関わりのあった人間に犯人捜しを依頼します。相手はホテルの警備人から娼婦、英文学の教授、それに女性カメラマンなど種々雑多。その過程で、妻は自分が知らなかった夫にまつわる様々な事実を知る。物語は全部で16人による証言を交えて進んでいき、最後には驚くべき結末が明らかになるというものです。

  余韻を残す感じで物語が終わるところに、心地よさを感じます。でも、カタルシスは得られないので、人によっては後味の悪さを感じるかもしれませんね。 登場人物も目まぐるしく変わり、決して読みやすいとはいえないのですが、不思議な魅力があるミステリーです。

  著者ニコルスンの経歴も変わっており、文学を専攻したとはいえ、仕事としては、教師以外にも、ゴミ収集人、家具のセールスマン、警備員なども経験しています。そんな経歴もストーリーに反映されているのでしょう。登場人物は皆、クセのある人物ばかりです。

  ニコルスンは、80年代からイギリスでポストモダン小説を書いており、表現や人物描写にもその影響があるのではと訳者の風間賢二さんが「あとがき」で詳細に分析していますので、こちらもぜひお読みください。

 いろんな意味で印象深い作品でしたので、「真っ当でないミステリーを読んでみたい」(笑)と思ったときは、ぜひ本書を読んでみてください。

 この本以外にも、面白い本を取り揃えていますので、これからも扶桑社ミステリーをよろしくお願いします。

書籍第2編集部  槇保則

 

※紹介情報、紹介者肩書等は公開時(2014年10月)のものです。

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