本作の実写ドラマは、MBS/TBSドラマイズム枠での放映決定。
MBSで20年2月23日スタート(毎週日曜 24時50分~)、TBSで20年2月25日スタート(毎週火曜 25時28分~)にて放送され、TBSでの放送終了後から、TSUTAYAプレミアムにて独占配信も決定しました。(※他社見逃し配信を除く)
主演に賀来賢人が決定! “ドラマ史上、最高にどうしようもない男”を演じます。
さらに変態に“唾を売って”生計を立てるヒロイン役に、山本舞香もキャスティング!
豪華キャスト陣にて、実写ドラマを盛り上げます。
連続ドラマ化を記念して文庫本、また単行本も好評発売中です!
Webサイト『日刊SPA!』で驚異的なPVを誇る連載エッセイ『タクシー×ハンター』。その中でも特に人気の高かった「恋愛エピソード」を中心に、大幅加筆修正のうえ再構築したのが、この『死にたい夜にかぎって』だ。
出会い系サイトに生きる車椅子の女、カルト宗教を信仰する女、新宿で唾を売って生計を立てる女etc. 幼くして母に捨てられた男は、さまざまな女たちとの出会いを通じ、ときにぶつかり合い、たまに逃げたりしながら、少しずつ笑顔を取り戻していく……。
女性に振り回され、それでも楽しく生きてきた男の半生は、“死にたい夜”を抱えた人々の心を、ちょっとだけ元気にするだろう。
作者である爪切男は、同人誌即売会・文学フリマでは『夫のちんぽが入らない』主婦こだまらと「A4しんちゃん」というユニットを組んで活動。頒布した同人誌『なし水』やブログ本は、それを求める人々が行列をなすほどの人気ぶりだった。
もの悲しくもユーモア溢れる文体で実体験を綴る“野良の偉才”、己の辱を晒してついにデビュー!
2020/02/05 連続ドラマ『死にたい夜にかぎって』ドラマ・配信公式サイト公開中 |
---|
2020/01/19 書店員さんの感想・書評を追加 |
2019/11/05 『死にたい夜にかぎって』 連続ドラマ化決定! 2020年初春放送予定 |
2019/11/05 『死にたい夜にかぎって』文庫化決定! 2019年11月19日発売! |
2018/02/26 こだま×爪切男トークショー『恐怖症の夜会』を 本のフェス (3月24日) に合わせて開催 |
2018/02/26 PR動画公開中 |
2018/02/15 爪切り男×掟ポルシェ W出版記念イベントを 本屋B&B にて3月9日開催 |
2018/02/15 書店員さんの感想・書評を追加 |
2018/02/09 推薦文・書評を追加 |
2018/02/09 書店員さんの感想・書評を追加 |
2018/01/19 爪切り男×こだま W出版記念イベントを 阿佐ヶ谷ロフトA にて2月17日開催【満員御礼】 |
爪切男 著
扶桑社 刊
定価 1,100円+税
2018年1月26日 発売
爪切男 著
扶桑社 刊
定価 650円+税
2019年11月19日 発売
'79年生まれ。派遣社員。ブログ『小野真弓と今年中にラウンドワンに行きたい』 が人気。'14年、『夫のちんぽが入らない』 の主婦こだまとともに同人誌即売会・文学フリマに参加し、『なし水』に寄稿した短編『鳳凰かあさん』がそこそこ話題となる。'15年に頒布したブログ本も、文学フリマではそこそこの行列を生んだ。現在、『日刊SPA!』で連載中。 同連載を大幅に加筆修正したうえで改題した本書『死にたい夜にかぎって』がデビュー作となる。
私の笑顔は虫の裏側に似ている。という一文から始まるこの本『死にたい夜にかぎって』は、著者の爪切男さんのかつての恋愛について書かれたデビュー作になる。読み終わった時には帯文を銀杏BOYZの峯田さんが書いていることの意味がよくわかった。僕の脳裏には銀杏BOYZの『東京』と、クリープハイプの『愛の標識』が本を読んでる間、ずっと交互に鳴り響いていた。
中学の同級生で可愛くて、家柄もよく誰からも好かれている完璧な美少女に言われた、「君の笑った顔、虫の裏側に似てるよね。カナブンとかの裏側みたい」という核爆発級の一言。そんな、思春期のニキビ面の少年を殺せる圧倒的な破壊力を持つ言葉を浴びさせられても主人公は耐える、いや耐えるしかなかった。無視されるよりは虫でいいのだと自分に言い聞かせる。そんな思春期の痛くてきつい出来事も、大人になって、様々な花から花へとセックスという甘い蜜を求めて飛び回るようになったら、甘やかで大切な思い出にすらなってしまう。男ってほんとバカだ。でも、バカでも許してほしい。ずっとバカです、すみません。
2011年、あの震災以降に6年間付き合っていた、AV女優だった神谷沙織に似ていた彼女のアスカと別れることになった著者は、思春期から彼が関わってきた女性たちのことを回顧しながら、同棲を解消して出ていく愛おしい女性との思い出を綴る。
恋愛経験もなく、キスもしたことがない主人公はいきなり飛び級をして出会い系で出会った女性と初体験をすることになる。しかし、やってきたその女性はあるプロレスラーにそっくりな車椅子の女性だったという童貞を襲う超A級の無理難題。
高校時代には中学時代に初恋の相手だった少女が、自分の駐めていた自転車の鍵を壊して盗もうとしていた。彼は知らないフリをして自分の自転車を窃盗した彼女と二人乗りをして絵に描いたような思春期のシーンを味わうが、最後には、笑えなくて切なくなってしまう展開が待っている。著者の爪切男さんが出会ってきた女性との思い出の数々は不意に笑ってしまうが、無性に心に突き刺さるものがあって、読み手の心をかき乱していく。
読者はその突き刺さった先に自分のダメすぎたかつての恋愛だったり、好きな人とのエピソードや完全に忘れてしまったはずの黒歴史の扉を開くことになる。ダメだった自分と好きだった女の子たち、これは女性の読者でも同じことだろう。好きだった男の子に間違えまくったアプローチや失敗談を、顔から火が出るような気持ちで思い出すことになる。しかし、それは今もなんとか生きてる僕たちにとっては、救いようがなくて愛しかった日々だ。大事な人がいなくなっても日々は続くし、生きていくのがこの日常だということをこの本は教えてくれる。
爪切男さんは本書の中で様々な女性との出来事を書いているが、彼の家庭環境が大きく影響しているのがよくわかる。借金で大変だった実家には祖母と父と自分しかいなく、母は兄を連れて出て行った。体育会系の父には鉄拳制裁で育てられ、母への思いが女性に求めるものの基盤になっているために、彼は女性に翻弄される運命を歩むことになる。彼はそれらをこうやって文章にすることで相対化して、すべてを受け止めているみたいだ。
著者はどんなにひどいことがやってきても、虫の裏側に似ている笑顔で「まあいいか」と笑っている。その大らかさは絶望ばっかりなこんな日々において、生き抜いていく圧倒的な武器になると思う。
あなたにとって、アスカだった人のことを思い出すことになる一冊。死にたくなる夜にかぎって、夜空には煌びやかな星々が見える。とてもやさしくて残酷、それでも、まあ、なんとか僕らはやっていくしかない。
「死にたい夜にかぎって」よかったです。 爪さんの話はずいぶん特殊な家庭環境とか、いろいろ変わった女性との関係とかが目立ってしまいますが、根本には青春小説だと思いました。
若くて、恥ずかしくて、思うようにいかない、そんな青春。
ふざけた表現や、意図的に汚らしく書かれる文章からここまでピュアで感傷的な物語が紡がれているとは思いませんでした。
印象的な言葉(「笑った顔が虫の裏側に似ている」など)がそこかしこにちりばめられていることもあり、独身男性には大きく響く私小説だと思います。
今後、書店店頭で「青春」というフェアをするなら入れたい作品です。 というか、近日そういうフェアをしようと思います。
ヒンドゥー教の苦行僧をサドゥーという。サドゥーは苦行により人々のカルマを打ち払うとも。「死にたい夜にかぎって」はまさに文学のサドゥーだ。赤裸々に性遍歴を抉り出しながら、綴り、そして祓う。
吐き出した伏線をすべて回収し最後に解脱し昇華する。とてもここには書けない自らのカルマを思い。少しいびつなサドゥーに託す。どうしようもなく情けなくって、あきれるほど正直で綺麗な文章。
竹原ピストルが歌う「野狐禅/自殺志願者が線路に飛び込むスピードで」が聞きたくなった。
♪ナメクジみたいに 君の体を這う毎日 ゴキブリみたいに 夜を這う毎日
刺さる人にはグッッッと刺さる!刺さらない人にはかすりもしない!こんな小説待ってました!
エッセイと小説の間のような文体。それがまたいい。
生い立ちや環境が割と過酷で、文中にはずっと哀愁がある。ただそれが、可哀想じゃない。
カラッと明るく書かれている内容がすごくヘビーだったりする。人一人分の重さを感じる小説。最後はもう泣くしかない。
まったくもって不幸な人生だ、と思うのだけど、ここには全く暗くじめじめした不幸がない。なぜだろう。
あぁそうか、最低で最悪な人生の中でも小さな幸せを見つける術を彼は知っていたからか。
その術を教えてくれたのが彼を通り過ぎて行った女たちなのね。なるほどね。彼と彼に関わったたくさんの女たちの幸せを祈りたくなる。
どうしようもない人間という生き物が、どうしようもなく愛しく感じられる。
死んじゃいたい死んじゃいたい、と何度だっておもいながら、この本のサイテーな場面を反芻したい。
涙、汗、精液。何かを身体から放出するということはとても気持ちが良い。その全てを放出しきったこの本は最高に心地良い。
おっぱいを揉んだ手、ちんこを握った手、彼女の頭を撫でた手、その手から生み出されたのは、極上のラブレターでした。
事実は小説より奇なりで連続ドラマ化?!
いやはや、スゴい。
おめでとうございます!
私小説としては、哀しい物語なのだろうが、何せポジティブな主人公なので、むしろ笑って癒されてしまう。
男には小4病、中2病というのがあって、その時代で思考の成長が止まってしまう事例は多々あるのだが、彼はどちらの症例でもなく、敢えて病名をつけるのなら「ガム飲み込み病」三つ子の魂百までだ、一生治りそうに無い。
決して善人ではない、かといって凡人では無い主人公。
ドラマ化によって彼の人生がまた面白哀しく転がって行くのが今から目に見えるようだ。
爪切男に乾杯と合掌。
重い内容なのに、愛した人たちはもちろん、読者のわたしさえも辛くならないように、むしろ楽しませようとしてくれる爪切男さんの優しさとサービス精神に気がついて笑いながら泣きました。
この本にはパワーワードがたくさん散りばめられていますが、一番印象に残ったのは「恋は便意を超える」です。
こんな一文で恋のときめきを思い描かせることができる人をわたしは他に知りません。
早朝、というシチュエーションもあってか、まるで朝日に照らされているかのようにこの一文だけがキラキラ輝いて見えました。不思議だ。
あと嬉しかったのは文庫版のあとがき。
ほっとしたのと切ないのとで、ここでもしっかり泣かされましたが、どこまでもライトな爪切男さんの文章で心が軽くなりました。
読んでいる間も読み終わった後も「切ねぇ…」しか出てきませんでした。
共感はできない、でも同情することも違うと感じさせる
傷だらけの半生のそこここに散りばめられた輝きを拾い上げる
爪さんの強靭さを尊敬します。
汗とか、唾とか、愛とか。
人間という生き物は、様々なものを周囲にまき散らしながら生きているんだなぁ、と改めて思いました。
それは汚く、はた迷惑で、どこまでもキラキラとまばゆいものでした。
人間臭く生きられるって、強いです。
泣けて笑えて、最後にはよし、頑張ろうという気持ちを思い起こさせてくれる、そんな小説です。
そしてそこにはたくさんの愛がつまってます。
爪切男さんの人生って素敵!