100年残したい日本の会社

著者名

藤間 秋男

判型

四六判

定価

1650円(本体1500円+税)

発売日

2022/07/22

ISBN

9784594091743

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この本の内容

 私はこれまで、創業100年を超えた企業、たとえば虎屋、鈴廣、にんべん、龍角散など錚々たる老舗企業の社長たちをたくさん取材し、永続企業になる秘訣を探求してきました。
 しかし、そうした歴史のある素晴らしい会社は、稀有な存在です。あまりにも完成されていて、遥か彼方にある会社だと思われる方も少なくないでしょう。自社との隔たりの大きさに、とても参考にしようという気持ちが起きないかもしれません。
 そこでみなさんが、より身近な存在として、自社とオーバーラップすることができるのはどのような会社だろうかと考えたとき、それは、まだ成長過程にあり、伸びしろがある会社ではないかと思ったのです。今まさに「100年企業になろうともがいている会社」ではないだろうかと。
 今回、100年残ってほしい企業をピックアップさせていただき、各社の代表者や創業者に取材し、その内容をみなさんに紹介することにしました。取材にご協力いただいた会社は決して無名の会社ではありませんが、10社すべてが100年続くために必死にもがいている会社です。
 きっと、本書に目を通していただいた多くの経営者の方は「そうか、こんなに有名な会社でも自分たちとそれほど変わらないんだな」と身近に感じてもらえるはずです。今まさに取り組んでいること、苦労していることは、みなさんの現在のご苦労とも重なってくると思うのです。
 だからこそ、今ここから、自分たちの会社がやるべきことが見えてくる、新たな事業の方向性や戦略のヒントが生まれてくるに違いありません。10社の代表者や創業者の想いに刺激を受け、勇気がわいてくるはずです。「自分の会社もこんな会社にしたい」と目標にしていただけるのではないかと思っています。

 今回、本書『100年残したい日本の会社』として10社を取材させていただきました。選ばせていただいた理由をここでお話しします。

●ユーグレナ
 栄養豊富なミドリムシを研究し商品化した会社です。その研究の原点は、「世界から貧困をなくす」という夢にありました。その夢の壮大さに心を動かされ、ぜひ、経営者に会わなければと強く思いました。その夢が生まれてきた源はどんなものだったのでしょうか。そして、その夢の実現のために徹底してミドリムシを研究し、製品化してきた過程にも興味がありました。世界から貧困をなくすためには、それこそ100年続いてほしい会社です。

●宮田運輸
 子どもたちの描いた絵をラッピングしたトラックで有名な運送会社です。そのようなラッピングトラックで運転士さんの気持ちを動かし、事故を防いでいこうという発想が素晴らしいと思いました。運転士さんだけでなく、それを目にする人たちも優しい気持ちになる。世の中を幸せにしようとする発想です。さらに、協会をつくってその活動を広げています。これを応援したい気持ちになりました。

●ピジョン
 主力の哺乳びんの他、育児用品を製造している会社です。かつては、ほぼ日本国内のみの販売にとどまっていました。日本の小さな会社でしかなかったこの会社が世界に進出し、今では世界でも大きなシェアを持つようになっていることに驚きを感じました。「愛」という素晴らしい経営理念を持つ会社が今後、どのように100年を目指していくのか知りたいと思いました。

●おやつカンパニー
「ベビースターラーメン」で知られるお菓子メーカーです。海外戦略のために、会社を外資系のファンドに託すという大きな決断をしたことに、大変興味を持ちました。こういう方法が会社の承継の在り方を考える上で、一つの選択肢となるのかもしれません。また、エリアマーケティングを進め、ご当地の味のベビースターラーメンをつくっているのも、おもしろいと思いました。これからさらに世界に向けての活躍が期待できる会社です。

●ホリプロ
 芸能プロダクションとして最初に上場した会社です。エンタメは産業として地位が低いところがありましたが、きちんとビジネスとして成立させたことに意味があると思います。こういう地位向上がないと、タレントは使い捨てになり、権利やリテラシーは低いままであったと思います。タレントのマネジメントの枠を超え、文化事業なども積極的に進めてきたことにも興味がありました。

●ベアーズ
 家事代行サービスを行っている会社です。ご夫婦でビジネスを立ち上げて、悪戦苦闘しながら、日本ではまだ認知度が低かった家事代行を、産業として確立してきたことに好感を持ちました。自社の成長だけでなく、職業地位を上げることを常に意識し、活動されていることも素晴らしいと思います。産業として成立させるために、社会全体の意識や法制度にまで目を向けられています。

●鎌倉投信
 社会に貢献している「いい会社」を選んで投資を進めている会社です。投資は利回りを追求するのが一般的で、このような会社は今までにありませんでした。このスタンスが素晴らしいと思いましたし、結果的に運用成果をあげていると聞き、驚きを感じました。どのような想いで創業し、100年に向けてどのように事業を進めているのか、具体的に知りたいと思いました。

●ハー・ストーリィ
 女性視点マーケティングを提案している世界でただ一つの会社です。女性経営者の会社は利益が上がるというデータもあり、私も講演の中で女性活用の重要性を話しています。とはいえ、まだ日本では男性主導がほとんどで、女性視点マーケティングを意識している会社は少ないといえます。こういう会社には、長く頑張っていただき、女性の活躍を支えていただきたいと思いました。

●紀尾井町 福田家
 北大路魯山人ゆかりの伝説を残し、政財界や文化人御用達の店として名を馳せる料亭です。創業80年を超え、100年企業を目前にした老舗です。飲食業界ではたくさんの会社が廃業し、それが当然のような厳しい世の中です。しかし、こういう店が残って、日本文化の伝統、和食の良さを守っていってほしいと思います。

●星野リゾート
 所有と運営を一体とする日本の観光産業の中にあって、いち早く運営に特化したビジネスモデルへ転換を図り、急速に成長しています。創業から108年にあたる企業で、これから100年という観点からすると異色ですが、温泉旅館から大きく方向転換を図った星野氏は、ある意味、初代ともいえると思います。星野氏が創り上げてきたビジネスモデルは、リーマンショックや東日本大震災などの危機を乗り越えてきました。ここに大いに学ぶものがあると感じました。また、社員に組織文化を浸透させ、社員自らが主体になって働く会社組織の在り方にも興味を持ちました。

著者プロフィール

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藤間 秋男
TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社 代表取締役社長 TOMAコンサルタンツグループ株式会社 代表取締役会長 公認会計士/税理士/中小企業診断士/行政書士 1952年東京生まれ、130年続く藤間司法書士法人の4代目の長男として誕生。 1975年、慶応義塾大学卒業。 大手監査法人にて5年間の勤務を経て、1982年に「社員ゼロ・お客様ゼロ、あるのは机1つ」の状況から藤間公認会計士税理士事務所をスタートさせました。開業直後こそ順調だったものの、トップダウンの経営はやがて行き詰まり、長い停滞期に陥りました。そんな時に松下幸之助の「経営の成功要因の50%は経営理念の確立と浸透にある」という言葉に出会いました。経営理念を大事にした経営との出会いです。 そこで、私の性格に通じる「明るく・楽しく・元気に・前向き」という経営理念を生み出しました。この経営理念を軸にし「社員を信じて仕事を任せよう!」「何よりも社員を大切にする会社にしよう!」と考えあらため、徹底しました。 すると事業は一転、瞬くスピードで成長を遂げ、TOMAコンサルティンググループは200名を超える専門家集団を擁するコンサルティングファームになるまでに至りました。 そして2017年10月、創業35周年を機に、事業承継を行い、代表取締役会長に就任。TOMAコンサルタンツグループは社員の会社とすべく、代表取締役社長を親族外にバトンタッチしました。 その後、私のライフワークである中小企業の100年企業創り・後継者づくりを支援する新会社「TOMA100年企業創りコンサルタンツ株式会社」を設立し、代表取締役に就任しました。 ●これら関連したセミナー、1900回以上。 ●老舗企業を集めた「100年企業サミット」を主催する他、各種メディアで老舗企業取材も多数経験。 ●主な著書:『社員を喜ばせる経営』(現代書林)、『社長引退勧告』(幻冬舎)、『中小企業の「事業承継」はじめに読む本』(すばる舎)、『どんな危険にも打ち勝つ100年企業の法則』『中小企業のための成功する事業承継』(ともにPHP研究所)、『永続企業の創り方10ケ条』(平成出版)など

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