増補・決定版 ニッポンの音楽

著者名

佐々木 敦

判型

文庫判

定価

1045円(本体950円+税)

発売日

2022/12/23

ISBN

9784594092429

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この本の内容

音楽プロデューサー・牧村憲一 推薦!
「激変する日本のポップス?!クールに見渡したい時に、手元に置くべき最初の一冊」

Jポップの「誕生」と「死」
半世紀にわたる歴史を通覧する!

「Jポップ」はいつ誕生したのか。Jポップ以前と以後でなにが変わったのか。それらの疑問を見つめるとき、日本のポピュラー・ミュージックの新たな一面が見えてくる。
本書は、一九六九年から半世紀にわたる日本のポピュラー音楽の歴史を、十年ごとの単位に切り分けつつ、はっぴいえんどやYMO、小室哲哉、中田ヤスタカなど、時代の主人公ともいうべき音楽家の物語から解き明かす。
ほかにも、フリッパーズ・ギター、ピチカート・ファイヴ、安室奈美恵、宇多田ヒカル、つんく♂、きゃりーぱみゅぱみゅ、tofubeats、星野源、折坂悠太……等々、それぞれの時代を彩る音楽家たちが登場。
日本の音楽史を通覧する画期的入門書、新章増補のうえ文庫化!

【目次】
・第一部 Jポップ以前

第一章 はっぴいえんどの物語
最高傑作『風街ろまん』/「反米」と「アメリカ化」/ボブ・ディランと岡林信康/あからさまに非=政治的/空っぽな風景/二重の「新しさ」/日本語ロック論争/松本隆の確信/「日本のロック」という難問/ 商業主義/対抗文化 /さよならアメリカ、さよならニッポン/「幸せな結末」以後/リスナー型ミュージシャン/四畳半フォーク/「嘘」と「小細工」のサウンド

第二章 YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)の物語
ポスト・パンクの課題/テクノロジーの導入/ユーミン、サザンの登場/トロピカル三部作/精神的な危機/「ここではないどこか」の音楽/ヴァン・ダイク・パークス/炬燵で誕生したYMO/三者三様の音楽的バックグラウンド/逆輸入で注目される/テクノの始祖、クラフトワーク/練られていたYMOの構想/ゲーム音楽とSF大作/テクノ・オリエンタリズム/「八〇年代」という時代の条件/「内」と「外」でのイメージ戦略/TOKIO=トキオ/コントにも出演した全盛期/個人を打ち出そうとした坂本龍一/最大のヒット「君に、胸キュン。」/「散開」という名の「解散」/奇妙なライヴ映画『プロパガンダ』/YMOファンの困惑/巨大で不気味な何か/「期待に応えない」戦略と本能/二度の再結成/「テクノポップ」と「テクノ」/エヴォリューション=進化


幕間の物語 「Jポップ」の誕生
J-WAVEが作った言葉/「J」現象と「内」と「外」/今なお続いている「J回帰」


・第二部 Jポップ以後
第三章 渋谷系と小室系の物語
1. 渋谷系の物語
あくまでも洋楽出自の音楽/CD市場の拡大/フリッパーズ・ギター/全曲英語のアルバムでデビュー/洋楽オタクのマニアックな目配せ/路線転換で一挙にブレイク/解散と「セカンド・サマー・オブ・ラブ」/変化の速度/「キャラクターで売れてくる国」/なぜ渋谷なのか/奇跡的な組み合わせ/サウンド重視のコーネリアス/「王子様」キャラクターで大ヒット/謎の沈黙と神秘化/アクティヴィストとして姿を現す/ピチカート・ファイヴ/田島貴男から野宮真貴へ/欧米でも活躍した黄金時代/最後のコンセプト「解散」/映画からの影響/過去に差異化を求めてゆく/「東京の合唱」のアイロニー/東京の凋落と「幸せな結末」

2. 小室系の物語
不景気なのにますます売れたCD/「オールインワン型」のプロデュース/日本のバブルとユーロビート/trfが大当たり/「リスナー型ミュージシャン」としての小室/「世界で最も売れたジャングルの曲」/坂本龍一との共作/異常なTKフィーバー/安室奈美恵の不在と一九九八年/「最後の国民歌手」宇多田ヒカル/つんくとモーニング娘。/TK時代の終わりの始まり/「アムラー」市場を引き継いだ浜崎あゆみ/歯止めの利かない下降曲線へ

第四章 中田ヤスタカの物語
オールインワン型の完成形/ピチカート・ファイヴの亡霊/Perfumeの快進撃/二つのユニットの方向性/海外進出を見据えた「アーティスト」/「Jポップ」に包含された邦楽内洋楽/ヴォーカルの加工/初音ミクとボカロP/「不気味の谷」の両側の歌声/第三の方向性、きゃりーぱみゅぱみゅ/無限に遠ざかる「完成」/「無かったものをアリにする」/「テクノ」と「テクノポップ」に同時に出会う/「聴いたことのない音楽」/意味を失った「内」と「外」/「Jポップ」葬送の物語


ボーナストラック Jポップ「再生」の物語
さらなる「葬送の物語」へ/サブスクリプション・サービスの台頭/サブスクの落とし穴/サブスク時代の「スター誕生」/NEXT中田ヤスタカは誰だ?問題/現代のセンスエリートたち/「センス」型から「学」型へ/周縁化するリスナー型ミュージシャンたち/「無敵」の星野源/KポップとSony Music/エイベックスの新たな挑戦/ファンサービスをめぐって/ニッポンの音楽の「発見」/グローバリズムか? ローカリズムか?/「ネタ」から「マジ」へ/言語の壁を越える/ネットが加速させたファンダム/災厄とファンベース/「日本(語)だから無理」ではない

※本書は二〇一四年に講談社より発刊された『ニッポンの音楽』を
加筆、改訂したうえで文庫化したものです。

著者プロフィール

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佐々木 敦
佐々木 敦 (ささき・あつし) 1964年、愛知県生まれ。批評家。音楽レーベルHEADZ主宰。広範な範囲で批評活動を行う。 著書に、『ニッポンの思想』『ニッポンの音楽』『ニッポンの文学』(講談社現代新書)、『あなたは今、この文章を読んでいる。』(慶應義塾大学出版会)、『シチュエーションズ』(文藝春秋)、『未知との遭遇』(筑摩書房)、『これは小説ではない』(新潮社)、『批評王――終わりなき思考のレッスン』(工作舎)、『絶体絶命文芸時評』(書肆侃侃房)、『反=恋愛映画論──『花束みたいな恋をした』からホン・サンスまで』(Pヴァイン)、『映画よさようなら』(フィルムアート社)など多数。 2020年、「批評家卒業」を宣言。同年3月、初の小説「半睡」を発表した。

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