さて、いよいよ、今年の扶桑社ミステリー、屈指のクセ球をご紹介しましょう。

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 物語は、英語翻訳や教師で生計を立てているブラジル人が書いた書簡という体裁。
 念願だったエドガー・アラン・ポーの研究総会へ出席できることになった彼は、アルゼンチンのブエノスアイレスへやってきます。
 そこで、あのホルヘ・ルイス・ボルヘスに出会います。
 じつはボルヘスとは、むかし、ある翻訳の問題で因縁がある間柄だったのです。

 しかし、物語は急展開。
 多くの参加者に論争の種をまいていた研究者が、施錠したホテルの部屋で、死体となって発見されたのです。
 しかも遺体は、手足を折り曲げ、アルファベットを形どっていたのです。

 死体の発見者でもあった主人公は、ボルヘスに事の顛末を語り聞かせます。
 密室とダイイング・メッセージの謎をめぐり、ボルヘスの推理がはじまります……

 最晩年の目も見えなくなったボルヘスが、自宅のあの図書室の中で、殺人事件の謎を解く!
 これは、ミステリー・ファンにとっては、ある種の理想ではないでしょうか。
 ポーからラヴクラフト、カバラへと暴走するボルヘスの推理の行き着く先は?

 こんな作品をものした著者は、ブラジル人の作家・翻訳家・コラムニスト。
 作中の語り手と、職業的にも世代的にも地理的にも重なります。
 ボルヘスへのオマージュとしてはもちろん、南米独特の特質を盛りこみ、ケレン味だけではない印象的な作品に仕立てあげています。(編集部・T)

2008年6月27日 20:49

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