じつは、コナリーを扶桑社に取りもどそうという試みが行なわれたので、その裏話を。

 もともと、「ナイトホークス」(■オンライン書店で購入する
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 ついには「エンジェルズ・フライト」(■オンライン書店で購入する
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 と書きますと、扶桑社がちゃんと売っていないのが悪い、とか、やる気がないんじゃないのか、とか、損してでもシリーズは出しつづけるのが出版社の責務だ、とか、きびしいご批判を受けるものでございます。
 どうもすみません。

 とはいえ、いくら現場が希望しても、会社としてはハナから損をするとわかっているビジネスはできませんし、時に利あらずという事態も起こるものなのです。

 さて、コナリーはその後、複数の版元さんたちによって順調に翻訳刊行されてきましたが、昨年、急にエージェントから話が舞いこみました。
 日本で刊行をつづけている出版社さんが、未刊行作品がいくつかたまっていることもあって、当面コナリーの新しい作品を取得するのを見あわせる、というのです。

 しかも、浮いてしまった新作 The Scarecrow は、扶桑社より刊行している「ザ・ポエット」(■オンライン書店で購入する
amazon7&Y楽天ブックサービスbk1/)のジャック・マカヴォイが主人公をつとめる作品。
 これは呼びもどすしかない!


 編集が盛りあがっただけじゃなく、社内的にもめずらしく前向きな反応で、どうせなら次に書かれたボッシュものの新作 Nine Dragons もふくめて、2作契約で行こう、ということになりました(Nine Dragons は「エンジェルズ・フライト」が物語の要素としてからんでもくるので、その意味でも扶桑社が手がける意味は強いのです)。


 ところが、いざ条件を詰めはじめると、状況はきびしい。
 予定初版部数から逆算すると、「エンジェルズ・フライト」当時よりも、条件を相当下げないと試算が成りたちません。
 それでも、しかたない、これで行くしかない、とオファーを出しました。

 ところが、なんと、他社からカウンターが出たというのですね。

 しかも相手は、さらに次の新作までふくめた3作ディールで対抗してきたのです。

 こちらも、条件をぎりぎりまであげたのですが、けっきょく敗れてしまいました。
 残念。

 今回、扶桑社が参入したことで、日本でのコナリーの契約条件は相対的にさがったのではないかと思います。正直、なんとなく割りきれない気分も残りますが、重要なのは、

  今後も継続してコナリーの作品が読める

ということですね。

 The Scarecrow は新たな要素を入れた意欲作ですし、Nine Dragons ではボッシュ自身の人生を揺るがす大事件が描かれます。

 今後の出版が確定しているコナリー作品は、全部で6作(うち1作は中編)。
 コナリーは、これからも日本の読者を楽しませつづけてくれることでしょう(扶桑社では出版できなくても!)。

2010年7月28日 10:36

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