ラリー・アシュミードが亡くなりました。78歳。

 ご存じないですよね。
 Doubleday、Simon & Schuster、Lippincott、そしてHarperCollinsと、大手の出版社であまたのベストセラーを世に送りだした名編集者です。

 こんな話があります。
 ロンドンの出版社に友人を訪れた際に、彼はそこにあった、オクスフォード英語辞典の誕生について書いた原稿をつかみ、「これをベストセラーにするよ」と言ったといいます。
 それが『博士と狂人』となったとか。

 スーザン・アイザックス、アン・リヴァーズ・シドンズ、トニイ・ヒラーマンなど、彼が手がけたベストセラー作家はたくさんいますが、なかでも有名なのはアイザック・アシモフでしょう。
 出版社に就職したてのころ、上司から預かったアシモフの原稿の科学的な誤りを徹底的にチェック。それ以来、2人は長い交友関係を結ぶことになります。
『アシモフ自伝』のなかで語られているエピソード――ある原稿でアシュミードが「この段落は意味不明」とチェックしてきた。それに対しアシモフは「わたしにはわかる」と書いて突き返した。
 こりゃあ、やりにくい作家だわ。
 ただしアシモフは、編集者にはボツにする権限があり、それに対してはなにも言わないのだ、とのこと(ほんとか?)。

 アシュミードは、もともと地質学の博士課程を修了し、奨学金返済のために石油会社に就職したのち、出版社に転職したという変わり種。
 そんな彼が編集者という職業を知ったのは、9歳のとき。
 地元の図書館で、あるミステリー作家が朗読会をしたのですが、彼女は兼業作家で、昼は編集者として働いているのだ、と説明。
 そして、編集者とは、マンハッタンの摩天楼のなかで一日じゅう原稿を読んでいる仕事なのだ、と語り、アシュミードはそれにいたく感銘を受けたのだそうです。
 海外の編集者はそんな理想的な仕事なんでしょうか。

2010年9月 8日 11:40

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