いつもは、弊社出版物の話題しか基本、記事にしないようにしているのですが、

ちょうど、明日、6月10日(火)19:00から、渋谷のオーディトリウム渋谷で、

「ソヴィエト・フィルム・クラシックス」の一環で「スタフ王の野蛮な狩り」の上映が

行われるので、頼まれてもいないのにご紹介をば。

かんじんのブロックの作品紹介は、木曜以降、若干暇になってから・・・。

 

「スタフ王の野蛮な狩り」。皆さんご存じでしょうか? 

1979年のソビエト映画、監督はヴァレーリー・ルビンチク。

国内盤のBD、DVDは存在せず、英語字幕の入っているロシア盤DVDも馬鹿高くて、とても手がでません。

ただ、しょっちゅう名画座でかかる映画で(去年はオーディトリウムの下のシネマヴェーラでやっていた)、かつてはNHKでやったこともあるようなので、ご覧になった方も多いかもしれません。

 

もし、未見の方がいらっしゃったら、ぜひこの機会をお見逃しありませんよう。

ジャンルとしてはホラー映画に分類されるもしれませんが、

ミステリーの愛好家の皆様にこそ、ぜひご覧いただきたい名画。

「隠れた珍品」とか「幻の佳作」とか、そういうレベルを超えた、

幻想ミステリー映画の金字塔、それが「スタフ王の野蛮な狩り」なのです。

 

劈頭、雷雨の中、旅人が原野を歩いてきます。

雷光に照らしだされる荒涼館。

不気味な召使と胡散臭い執事。

まさにロジャー・コーマンのポーシリーズを彷彿させる世界です。

腺病質な美しき女主人は、狂気と正気のはざまで彷徨い、呪われた血の運命に怯え、

伝説の狂王スタフ王と眷属たちの襲来を待ち続けています。

夜のしじまに響き渡る小人の足音。とどろく幽霊騎士団の蹄音。

少壮の民俗学者は、屋敷に充満するスタフ王伝説の恐怖を解明しようとしますが・・・。

 

ね、面白そうでしょう?

前半に張り詰めた、紛れもない恐怖の感触は、どこまでも耽美的で神経症的。

今なお、人々を支配するフォルクロアの魔力を十全に表現した

「現代のゴシック」として、生々しい恐怖感覚にわれわれをいざないます。

しかし、本作の本領は、そのあと。

とある大きな転回点を迎えたのちに訪れる、「理性」の復権こそが、

この作品を特別なものにしているのです。

幻想を打破する理性の光。そして、再び垂れ込める始原的な恐怖の闇。

これはホラーなのか。ミステリーなのか。

両者がせめぎあうなか、物語は先読み不能のエンディングへと

なだれ込んでいきます。

 

横溝正史作品の好きな方、島田荘司氏の本格理論に共感する方。

そんな方にこそ、ぜひおすすめしたい作品です。(編集Y)

 

2014年6月 9日 13:00

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