2021年1月アーカイブ

昨年12月末に発売しました、ノーラ・ロバーツの最新三部作〈ドラゴンハート・トリロジー〉第一弾、『目覚めの朝に花束を』(上・下 香山栞訳)、もうお読みいただけましたでしょうか?

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あらすじはこんな感じです。

フィラデルフィアの中学教師ブリーンは、ひょんなことから総額四百万ドルに及ぶ自分名義の口座が隠されていた事実を知る。
母は、幼いころに離婚した父がずっと送金してくれていたのを黙っていたのだ。
ブリーンは親友のマルコと相談のうえ、思い切って自分に合わない職を辞し、ふたりで父の母国であるアイルランドへと旅立つことを決める。それは自分探しの旅であると同時に、長年音信不通の父親を捜す旅でもあった。
彼女は海を渡る飛行機の中で、ドラゴンに乗った美しき戦士の夢を見る......。

アイルランドに到着したブリーンは、長期滞在用のコテージに腰を落ち着け、念願だった小説の執筆にとりかかっていた。
ある朝、子犬に導かれて林の奥へ分け入った彼女は、いつしかこの世界とは異なる別の世界へと足を踏み入れたことに気づく。今も魔法の息づく異世界タラム。この地こそが父の真の故郷にして自らの出生地であり、自分にも秘められた力があることを祖母を通じて知ったブリーンは、やがて戦士キーガンと運命の再会を果たす......巨匠待望のアイリッシュ・ファンタジー三部作開幕!


ノーラに関しては、このところずっと、歴代の若い担当さんに任せていて、自分で担当するのは本当に久しぶりだったのですが、やっぱり別格の力量をもった作家さんだと、改めて痛感させられた次第です。
今回は、久々にノーラのホームグラウンドであるアイルランドもの。
しかも、いまはやりの(日本だけ?)「異世界」ものではありませんか。

ノーラが三部作(トリロジー)を執筆する際、剣と魔法のファンタジー寄りに舵を切るようになって、もうずいぶんになりますが、これだけ「二つの世界」を行き来することに焦点を当てたものは、今までなかったように思います。
原書のカバーでは、まさに天と地から、現代のフィラデルフィアの街と異世界タラムが迫り、拮抗しています。
ヒロインであるブリーンは、自分のルーツを探して訪れたアイルランドの地で、出奔したと思っていた自らの父親が、じつは異世界から来た人間で、悪との闘いのなかですでに亡くなっていたことを知ります。
異界の祖母のもとで、魔法を習得しながら、長年の夢だった執筆活動を始めるブリーン。
一方、彼女には、もとの世界に残してきた仲間たちと、作家として成功するという今芽生え始めたばかりの夢があります。彼女は、どちらの世界を選択するのか。物語は、まだ始まったばかりです。

本作は原点回帰のアイルランドものである一方で、ノーラは、今の時代の要請に積極的に応じようとしているようにも見えます。
今回、ヒーロー以上の重みで登場するのが、ブリーンの親友で、ルームメイトであるゲイのマルコ。
むしろ、これまでノーラ作品でヒーローが担ってきた、「戦うヒロインを横でそっと支える存在」としての立場を、マルコが引き受けているともいえそうです。
2020年は、コロナ禍のみならず、アメリカのロマンス界が揺れに揺れた年でもありました。アメリカロマンス作家協会で内紛が表面化し、ついにRITA賞が中止に追い込まれたのです。BLMやLGBT、フェミニズムといった視野から、従来的なロマンスのあり方にもいろいろと再考が迫られたなか、第一人者としてノーラは、自ら率先して新たな作風を模索しようとしているのかもしれません。

風雲急を告げるラストシーン。今年12月発売予定の第二巻が待ち遠しいところです。

なお、ノーラ・ロバーツの次回作はスタンドアローンのロマンティック・サスペンス、『Legacy』(上・下)。脅迫者におびやかされながらも、起業して頑張るイタリア系ヒロインの成長物語です。
2021年6月末の搬入、7月頭の発売予定。こちらもご期待ください。(編集J)






2021年1月10日 23:46 | | コメント(0)

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