60歳からはやりたい放題[実践編]

これさえやれば大満足人生!

ベストセラー『60歳からはやりたい放題』の進化版!前向きで毎日が楽しくなる60の具体策

 来年の大河ドラマの主人公は紫式部ですね!
本書は彼女の素顔にせまるため、キャッチーな言葉選びに卓越した堀越英美さんに、『紫式部日記』を「令和のミドサーOL風」に訳していただきました。
そして、古典や大河に興味がない方にもぜひおすすめしたいです。「人生思い通りにはならないよなぁ」と一瞬だけでも思ったことがある方は、ご一読いただけると少しだけ温かい気持ちになれると思います。

さて、紫式部は世界最古の恋愛小説を書いた大作家ということで、得体のしれない才女のように思っている方も多いと思いますが、『紫式部日記』を読むとイメージが変わります。
実家が貧乏気味でなかなか出会いにも恵まれず、超晩婚の末に一人娘を授かったら夫に先立たれ、ひきこもりのシンママに。手慰みに書いた『源氏物語』でブレイクし、藤原道長から中宮彰子に仕える女房としてスカウトされます。もともと「人前に出るなんて絶対無理!」というタイプでしたが、娘を養わねばならず仕方なく出仕。すると、同僚は深窓の令嬢ばかりで氷のように冷たい態度を取られるのです。

これだけでも、人生ハードモードすぎてかわいそうになってきますが、紫式部の「生きるの向いてない」つらみに拍車をかけているポイントは、彼女が1000年読み継がれる物語を描いてしまえるほど鋭い人間観察力・批評眼を持っていたことです。
後宮という難しい職場での勢力図や、官僚たちからの視線、職場や上司の問題、そして自分の至らない部分まで鮮明に見えてしまいます。それで、日記には職場の愚痴を書き連ね、「結局ゆるふわキャラに徹するのが一番よね」という切ない処世術にいきつくのです。
 
特に本書は「世の中めんどくさいことばかりでダルいわー。」というのがひしひしと伝わってくる口語調の文章で読めるので、1000年前も現代も、悩みって変わらないんだな~としみじみ思えます。
 
ただ『紫式部日記』には救いもあります。処世術が功を奏し、職場でのコミュニケーションがとれるようになってからは、彰子にも頼りにされ女房の職務に目覚めていくのです。
本書の最後にある、著者の堀越英美さんが史実を元に創作した文章「日記の後の私たち」の締めの一文を読むと、紫式部が自他への厳しさを消化し、読み手のいろいろな人生までをも認めてくれているように感じます。

そんな滋味深い日記ではありますが、古典だからと構えて読む必要は全くありません!かわいい猫ちゃんの解説や美麗なイラストが満載、どこから読んでもクスッと笑えます。お仕事にちょっと疲れたころや、秋の夜長、年末年始にいかがでしょうか。

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